第1回 アマニフォーラムセミナーレポート
正しい医療情報と今求められる栄養管理の重要性
アマニフォーラム実行委員会(後援:一般社団法人日本アマニ協会/協賛:日本製粉)は2017年5月25日(木) J A共済ビル・カンファレンスホール(東京都千代田区)にて、「第1回アマニフォーラムセミナー~医療の最新情報と正しい栄養情報の提供~」を開催しました。同フォーラムは、全4回のシリーズでの開催を予定しており、今回はその第一回目にあたります。
【フォーラムセミナーの開催趣旨】
団塊世代が65歳を越え、4人に1人が高齢者となった現代日本では、健康に関心を持つ人が増え、健康に関わるさまざまな情報や商品が飛び交うようになりました。一方、市場においては、健康食品等の価格競争に拍車がかかり、不確かな情報や品質が保証できない商品が出回ることで、生活者が正しい知識を享受できず、何を選択したらよいのかさえ分からない現状があります。そこでアマニフォーラム実行委員会は、生活者にやさしい社会を目指し、健康寿命を延ばして、生活の質を上げるための適切な知識を伝えていくことを趣旨として、からだのケアフォーラムを立ち上げました。今後、4回のアマニフォーラムセミナーを通して、日本の医療への取り組みや医療現場における栄養情報の提供、予防医療にも役立つアマニをはじめとした食品など、エビデンスに基づいた適切な情報を発表していきます。
今回のプログラムは三部で構成され、千葉大学名誉教授 齋藤康氏の挨拶の後、4名の登壇者を迎えて講演を行いました。
【登壇者】
横手幸太郎氏(千葉大学大学院 医学研究院 細胞治療内科学講座教授)
石川祐一氏(公益社団法人 日本栄養士会 常任理事)
辻口博啓氏(パティシエ 一般社団法人 日本スイーツ協会代表理事)
川口康平氏(日本製粉株式会社)
【内容】
第一部は千葉大学教授の横手幸太郎氏が登壇し、これから1年を通して行われるアマニフォーラムのオーバービューと動脈硬化と脂質異常症、危険因子の積み重なり、肥満症治療の実際と課題、生活における脂肪酸の摂り方について講演しました。生活習慣病の一つである動脈硬化の危険因子として、脂質異常や高血圧、糖尿病、喫煙、また加齢そのものが挙げられますが、今回は特に脂質異常症についてフォーカスし、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪の値を用いた診断基準から動脈硬化の危険因子や発症までの過程を解説し、脂質異常症の改善法や予防法についても言及しました。
第二部は、公益社団法人日本栄養士会 常任理事 石川祐一氏による「今求められている栄養管理の重要性」と題した講演で、実際の医療現場から見た高齢者の栄養問題や生活習慣病対策等の新しい取り組みについて、栄養士の立場から講演しました。講演の中で、石川氏は高齢者の低栄養状態の危険性と摂食嚥下機能障害時の栄養管理について説明し、その対策として、栄養価が高くヘルシーなアマニを紹介。医療だけでなく、福祉、地域において栄養管理は重要な位置づけであり、連携体制の整備が急務である現状と、地域包括ケアシステムの構築や質の高い医療提供体制を推し進めていく中で、栄養情報の共有が重要になってくることを述べ、今後様々なシーンにおける医療、介護、自治体、企業が一丸となった取り組みが期待されるとまとめました。
第三部の前半は、パティシエの辻口博啓氏による「アマニでつくる健康スイーツの可能性」についての講演から始まりました。休憩時間に辻口氏の自由が丘にあるパティスリー「モンサンクレール」で販売している、糖質を抑えた「フィナンシェアマニ」が配られ、アマニスイーツを実際に試食していただきながらの講演となりました。辻口氏は、2008年に女性誌で企画されたアンチエイジングスイーツレシピの連載がきっかけで、健康と美容にもよいとされる、α–リノレン酸、食物繊維、リグナンを豊富に含むローストアマニに注目していたといいます。辻口氏がアマニ粒ときな粉を使ったお菓子、ブール・ド・ネージュ(クッキー)を開発してから9年、アマニをパティシエの世界に取り入れ、アマニのスイーツへの可能性を研究してきました。現在の「糖質制限」の浸透で、おいしさと健康を両立するスイーツが求められる中、健康的でありながら食べて満足できるアマニスイーツを海外に提案していきたいと語り、今後は、高齢者向けの施設や病院におけるアマニスイーツの展開も視野に入れていると言います。
すべての講演終了後に質疑応答が行われ、糖質オフの考え方の是非や、高齢者が自分でどのように栄養管理に取り組めばいいのか、なぜ「総コレステロール値」という考え方があるのかなどの質問が寄せられ、齋藤氏、横手氏、石川氏が回答し、約4時間にわたるフォーラムセミナーが終了しました。
今後人口が減少し高齢者の割合が増えていく日本では、平均寿命は延びたものの、健康寿命とは開きがあり、その差は男性9.60、女性は14.40歳もあると言います。健康寿命を延ばすためには、若い頃からの健康に対する意識と予防医学が重要であり、食生活は重要なファクターとなります。アマニフォーラム実行委員会は、生活者にやさしい社会の実現を目指し、正しい有益な健康に関わる情報を今後も発信し続けます。