アマニ(亜麻仁)とは?

アマニ(亜麻仁)とは?

亜麻の実

アマニ(亜麻仁)とは、アマ(亜麻)という植物の花の種子(仁)のことです。アマの原産地はコーカサスから中近東地域と言われています。茎からは織物に使える繊維を採ることができ、種は食用として使われるほか、アマニ油を採ることも出来ます。その豊富な栄養価から「スーパーフード」として近年注目を集めています。
アマの英名はFlaxseed、学名はLinum usitatissimum Lで、Linumはケルト語で「糸」、英語では「リネン」を意味し、usitatissimumはラテン語で「最も有益な」という意味の形容詞usitausに由来しています。

茎からは麻布、種からはアマニ油

亜麻の花

アマはアマ科の一年草で、茎が細く、夏に1.5センチ程度の青紫色か白色の花を咲かせます。茎の繊維からは麻布(リネン、リンネル)という布地が作られており、肌触りが良く吸水性や通気性に優れているため、夏用の衣服によく用いられています。
種は黄褐色の5ミリ程の楕円形で、品種によって大きさが少し異なります。見た目はゴマに似ています。種から採れるアマニ油は食用のほか、絵具や工業用油としても使用されています。
種子用の品種は温暖地でも栽培できますが、繊維用の品種は冷涼で湿度の高い気候が栽培に適しています。

人類が初めて栽培した植物

亜麻の実

アマニは太古から人類にとってなじみの深い植物で、人類が初めて栽培した植物の一つと言われています。スイス湖上生活人の遺跡からは新石器時代にその繊維と種子を利用していた痕跡が見つかっています。紀元前5000年代にはエジプトで栽培されるようになりました。エジプトでは繊維から作ったリネンが神官の衣服や神事に用いられたり、ミイラを包む布地として利用されたりしていました。ヨーロッパでは8世紀頃には毛皮に代わって使用されるようになり、木綿が台頭してくるまで主要な素材として用いられました。
日本には17世紀末期に中国からアマニ油を採る目的で導入されました。明治初期になると繊維用として北海道で栽培されるようになり、軍需品としても用いられました。

健康に良いことで知られていた

アマニの栄養学的な価値は古くから認められており、西暦800年代にはフランスのシャルルマーニ大帝が「臣民はアマニをとるべし」と法令化し摂取を勧めたとされています。近年は再びその栄養価から脚光を浴びています。