第12回 アマニ&マスリン酸フォーラムセミナーレポ―ト

最新の医療情報と正しい栄養情報の提供

−予防医療−「予防医療」に向けた運動と栄養サポートについて

アマニフォーラム実行委員会・日本製粉株式会社(後援:一般社団法人 日本アマニ(亜麻)協会)は、2020年1月21日(火) JA共済ビル カンファレンスホール(東京都千代田区平河町)にて、「第12回アマニ&マスリン酸フォーラムセミナー ~最新の医療情報と正しい栄養情報の提供~ ―予防医療―「予防医療」に向けた運動と栄養サポートについて」を開催しました。

【フォーラムセミナーの開催趣旨】

団塊の世代が65歳を超え、4人に1人が65歳以上の高齢者である「超高齢社会」の日本では、健康寿命の延伸を目指し、大変多くの方が健康に関心を持つようになりました。
巷では健康に関する情報が溢れ、様々な健康食品が紹介されています。
「この健康食品が身体に良い」と話題に上る都度その情報に振り回されたり、流行の商品の類似品が登場すると価格志向になり、安全安心が二の次になっていく場面が繰り返されています。偏った情報に右往左往し、何が正しいのかわからない状況は、生活者にとってメリットはありません。
私どもアマニフォーラム実行委員会、日本製粉株式会社は「生活者にやさしい社会の実現」を目指し、健康寿命を延ばしてQOL(=生活の質)を上げていかれるように、「最新の医療情報と正しい栄養情報」を生活者に伝えてサポートしていきたいと考え、2017年に「からだのケアフォーラム」を立ち上げ、それを推進する「アマニフォーラム」セミナーを開催しております。
2017年度「アマニフォーラム」セミナーでは、「高齢者の栄養管理」をテーマにサルコペニアやフレイル、それに伴う栄養管理情報、また地域包括ケアシステムの具現化と高齢者の生きがい就労の創生に向けた産学官連携の活動などについて、年4回のセミナーでお伝え致しました。
2018年度は、「若年層、子どもの栄養管理」をテーマに、社会環境的な問題の一つである貧困が子どもに与える影響や子どもの生活習慣病について、また、子どものアレルギー対策、子どもの脳と心の発育と脂質との関係についてなど、年4回お伝えして参りました。
今年度のアマニフォーラムセミナーは「予防医療」をテーマにし、我々を取り巻く環境が母体や子どもたちに与える影響について、また、最新のエビデンスに基づいた栄養情報をお伝えします。私どもは少子高齢社会の子どもたちが健やかに成長し、日本の将来を担い活性化していってもらうことを願い、今年度も取り組んで参ります。
セミナーに参加されるマスコミや医療、福祉関係者の皆様には、最新の正しい情報を生活者にお伝えいただきたく、また、賛同してくださる企業の皆様には、「最新の医療情報や正しい栄養情報」を基に、生活者が安心して暮らせる「場の提供」を一緒にお取り組みいただき、皆で「生活者にやさしい社会」を実現していきたいと考えております。何卒宜しくお願い申し上げます。

 

千葉大学名誉教授 齋藤康 氏のご挨拶

 

今回のテーマは大変重要なテーマであり、長い医学の歴史の中でも本当に必死で栄養学の事を考えていかなければならないという点で、今ほど高いレベルであったことはなかったと思います。栄養学を語るために栄養の不足や偏りといったことが日常的にあり、なかなか栄養学というものを公平に語る事ができなかったという事も大きな原因かもしれません。本当に病気を予防することや治すということを含めた医療においては、どんな疾患に対してもベース、基本、底力、という構成の位置づけになっているのが栄養学ではないかと思います。正しい栄養学を知るという事は、非常に重要な事であると言えると思います。日本の医学の中で、栄養が大事であると本当に考えて医療あるいは医学をすすめて来た人達の心血を注ぐ働きの強さを感じます。

栄養学というのは、時代的な流れをみると、戦争が起こると殆ど食料危機で食べる事ができずにみな痩せています。次に戦争が終わると食料危機がなくなり好きなだけ食べる事ができるようになり、戦後の子供達の肥満が起こると言われるようになります。栄養学というのを、とても大事だと思っている人はたくさんいると思います。しかし現実に大事だという事をどのように実践しているかというと、必ずしも思い通りには動いていません。

このような日本の食べるという状況をつぶさに見て、その印象を率直に語った人がいます。みなさんご存知だと思いますが、ラフカディオ・ハーン、日本名は小泉八雲です。旧制高校の先生をしながら日本の文化や日本の生活習慣を詳しく見て、奥様も日本人という方でいらっしゃいます。小泉八雲の随筆などを見てみると、例えば日本の青年は飯は水が多く米が浮いているようなものをすすっているという主食の食べ方であった、おかずといえば梅干、たくあんしかなかったと書いています。そこまで酷くはないと思うのですが、色白でやせ細り持久力もない、戦う精神も出てこない、こんな事では日本はアメリカに負けますというような、日本の栄養状態を見て大変悲惨だったと小泉八雲は語っています。では日本はアメリカに勝つために何をどうすれば良いか、第一番にあげた事は肉を食べれば良いという事です。これは栄養学的に正しいかどうかは別として、彼が言いたかった事は肉というのは精神の高揚もする、知能にとっても栄養は大切である。人の持つこの様なエネルギーというのは食べ物の栄養価に依存するんだと言っています。このような因果関係を言ったという事も非常に大切な情報だったのではないかと思います。

栄養指導というものは、なんでも食べさせないようにすると患者さんが言った事があります。そうとられてもしかたがない事があったのかもしれませんが、実際はそうではないと思います。
人間は生まれてから段々成長し年をとっていきます。このプロセスの中で栄養学は、その年代年代に適したやり方をしていかなければならないという事です。臓器の発育や頭脳の働きや栄養を摂る場面を十分に理解し、どんな栄養が必要なのかを考えていく事が大切で、栄養学の講義できちんと習うべきという事が彼が一番主張したかった事ではないかと思います。そう考えると、何を摂ったら良いのか、肉を摂ったらそれで全てが良いという話ではありません。やはり栄養学ではどんな成分があり、どんな働きが良いのかという成分の研究の必要性が非常に大事だと思います。
そして、その分析を基にして、子供の時、青年の時、成人の時、年をとった時に本当にその年代に適する栄養というのはどんな栄養かということを確立し、みんなが納得できるような栄養学を手にすべきではないかと思います。
例えば肥満という病気があります。この肥満は子供の頃、青年の頃、成人の頃は適切な体重が非常に大事という事が統計学的にも出されています。そしてその正しい体重を出した時に色々な検査結果が最も良くなるし、発育も非常に良いという事で、ある一定の基準値を目指して治療するというのはあってしかるべきと言えます。しかしお年寄りは太っていると悪いのかというとそんな事はなく、太っている方がかえって生命予後が良かったという結果があります。やはり我々は年齢にしたがった栄養学が必要だということを示しています。アマニに健康効果があるという事は良く知られているし、良く利用されている食品です。しかし、アマニ油の中にはオメガ3も含まれている。オメガ3が口から入って行った時、体の中で最後までアマニ油としてだけで活動しているかというとそうではなく、例えばオメガ3の場合は脂肪酸という形をしているかもしれないけれども、ここで代謝してできてくるプロスタグランジン、この成分の一つには非常に強い抗アレルギー作用を持っていたり、あるいは動脈硬化にも良かったりという事があります。このように出だしはそうかもしれないけど栄養学でその効果を展開するには、体は極めて微細なコントロール機能を持っているという事ではないかと思います。そういったことも含めて私たちは年齢あるいは成長の因子を年代ごとに語る事ができるような、そんなアプローチができることを望みたいと思います。
食品というのは、もちろん作る食品もたくさんありますが、自然の恵みの一環として我々が手にしている事がある、それを有効に使うという事は神様が我々に仕組んだ大きな仕事ではないかという気がいたします。
今日は、大変素晴らしいお話を聞けるプログラムとなっています。どうぞ最後までご熱心にお聞きいただければ幸いです。これで私の話とさせていただきます。

今回ご登壇ならびに討論にご登壇いただいたのは、以下の方々です。

 

大藏 倫博 氏

(筑波大学体育系 健康増進学 准教授 高細精医療イノベーション研究コア長
テーラーメイドQOLプログラム開発研究センター)

 

山内 優輝 氏

(日本製粉株式会社 イノベーションセンター)

 

澤根 健人 氏

(日本製粉株式会社 イノベーションセンター)

【内容】

第1部では、筑波大学の大藏倫博先生に体育・スポーツの観点から、新しい健康づくりのあり方や介護予防のあり方と研究内容について、ご講演いただきました。

 

筑波大学の中には高細精医療イノベーション研究コアという所があり、私はそのコア長をしています。文部科学省が今から7年ほど前にセンター・オブ・イノベーションプログラム COI STREAMを国のプロジェクトとして立ち上げ、私達筑波大学もこれに手をあげて応募いたしました。
COI STREAMには、ビジョン1、2、3とあり、現在私達はビジョン1 「少子高齢化先進国としての持続性確保:Smart Life, Ageless Society」に所属しています。北海道大学を拠点として我々筑波大学と北里大学で、「食と健康の達人 」拠点を構成しています。筑波大学はCOI STREAMを実施するために研究コアを立ち上げました。さらに2019年2月1日にテーラーメイドQOLプログラム開発研究センターを立ち上げました。センター長は、生命環境系教授の磯田博子先生です。テーラーメイドQOLプログラム開発研究センターは、ヒト介入研究、基礎研究、製品開発研究の3つの部門からなっており、この部門が非常に有機的に効果的に連携して企業や官、地方自治体との共同研究を通して様々な新商品・食品等を開発する事を目標としています。食・運動・睡眠を一体化したテーラーメイドQOLプログラムを開発する開発センターになります。私は、住民一人一人のQOL向上を実現しそれを世界に広めていくという開発研究センターで仕事をしています。

私はスポーツ・体育に関する研究を行っていますが、最近スポーツ・体育は、様々な分野で注目を浴びています。これはまさに今年2020年は東京でオリンピック、パラリンピックが開催されるからでしょう。例えば、ユネスコ憲章の中に「体育・身体活動・スポーツに関する国際憲章」という条文があります。体育・身体活動・スポーツは人類の発展に役立てる事が出来るという事が明記されています。国連が出しているSDGsの中にも全てではありませんが部分的に体育・スポーツによって解決できる項目が幾つかあると考えられます。従いましてスポーツ関係以外の国際機関からも地球規模課題を解決するためのツールとして期待されているという事が言えるのではないかと考えています。

2040年には超・超高齢社会が訪れます。
まず人口のボリュームゾーンである団塊の世代が90〜95歳に到達します。さらに、団塊のジュニアが高齢期(65〜70歳)を迎えるので、親子で高齢者になってきます。そうなると当然、高齢者人口がピークになり3921万人に達する事になり(総務省 2017)、人口ピラミッドは高年齢ほど人口が多い花瓶型へと変形していきます。こうなると、あらゆる分野でシステムの再構築が余儀なくされます。健康、福祉、介護予防の分野も例外ではなく、2025年ではなく、いかに2040年を乗りきるかというところで我々の分野では研究者が必死に研究をしています。

身体的フレイル(サルコペニア)予防のための運動処方は、筋肉を増加(筋力を向上)させる事です。筋力トレーニングが有効であり、自分自身の体重を負荷としておこなうやり方でも充分に効果は期待できます。また下肢、体幹を中心に各1〜2種目以上を週2〜3回、3ヵ月以上継続する事で効果が現れます。特別な機械がなくても、階段を使う事でも筋力強化の効果が現れます。もう1つサルコペニアの評価基準に歩行能力向上があります。歩行スピード1m/秒という基準が今年新しく設定されました。この歩行能力をいかに維持するかが非常に重要になってきます。これまでの歩数プラス10分以上のウォーキングをする。早歩きをする。1分間に100歩以上のスピードで1分〜2分歩くだけでも効果が期待できます。さらに大股で歩く。このような基本的な事に加えて私達はかさまスタディから新しい知見を探しだそうとしています。

運動能力、体力はもちろん重要ですが健康長寿の実現のためには栄養学的なアプローチは必須です。私達筑波大学は、日本製粉と共同研究を長年しています。膝の痛みを抱える高齢女性を対象とし、プラセボ対照無作為化二重盲検群間比較試験(RCT)を行っています。運動のみの群ともう一つは運動とオリーブ果実エキス500mg(マスリン酸50mg)を20週間摂取してもらいました。評価項目はひざ関節機能(JOA)、膝関節筋力(BIODEX)などを測定。運動プログラムは全身振動トレーニング、高速振動するマシンの上でのトレーニングで膝関節への負担が少なく高齢者の方でも安心して出来る運動プログラムになります。
JOAによる膝関節機能の評価の歩行時疼痛スコア、ひざ可動域スコアでは、運動のみよりマスリン酸を摂取して運動した群のスコアが良かったという結果が出ました。既に健康で膝に痛みがないという方は運動だけでも良いと思いますが、運動をしたいが膝が痛くて運動に踏み込めないという場合はマスリン酸を摂っていただくと運動がしやすく効果が出やすくなるという事がこの研究から分って来ました。

研究者の一人である私が体育・スポーツの観点から、新しい健康づくりのあり方や介護予防のあり方を構築できるか、それを国民の皆さんにいかに普及していけるかを示すことが必要と考えています。

他、2008年に立ち上げた、かさまスタディ、認知的(精神・心理的)フレイル対策、認知機能評価機器「ペグ・アモーレ」、最新脳機能賦活スポーツ「マットス」、社会的フレイル対策、スポーツマルチ効果等について、ご講演いただきました。

 

第2部では、日本製粉株式会社イノベーションセンターの山内優輝氏にオリーブとその有用成分であるマスリン酸についてご講演いただきました。

 

弊社は、製粉事業をコアに小麦粉を用いたプレミックスやパスタ、蕎麦、さらには冷凍食品や弁当惣菜、他にもスポーツクラブの運営や遺伝子検査といった分野にも事業を広げてきました。健康食品・機能性表示食品の素材の中からオリーブとその有用成分であるマスリン酸について、これまで得られた研究データを中心にご説明します。

日本は世界に先立って高齢社会に突入しています。ロコモティブシンドローム、通称ロコモとは加齢や運動不足などに伴い関節、筋肉、骨といった運動器に障害が起こり要介護になるリスクが高い状態になる事を言います。
厚生労働省、国民生活基礎調査及び簡易生命表を基にした平均寿命と健康寿命を見ると男女共にかなりの差があります。この差の要因として運動器の障害、転倒、骨折、関節炎などがもっとも多く、これらの予防が健康寿命の延伸につながると考えています。

サルコペニアとは、ロコモの構成要素の一つで筋肉量や筋力が自然低下し、身体機能が低下する事を指します。一般的に人の筋肉は40歳を境にして徐々に現象していく傾向があり、60歳を過ぎると減少率が加速していきます。サルコペニアの簡易チェックの方法として、指輪っかテストというものがあります。ふくらはぎの一番太い部分を両手の親指と人差し指で作った輪よりも小さく隙間ができるとサルコペニアである可能性が高いと考えられています。どなたでも特別な装置を必要とせずに調べる事ができます。筋肉量の減少は関節への負担増や運動量の減少、転倒や転倒時の骨折につながっていくことから、サルコペニアはロコモの入り口と考えられています。ロコモ、サルコペニアを予防する事が健康寿命の延伸、豊かなシニアライフの実現に必要であると考えています。

現在スポーツ人口は4800万人いると言われています。東京オリンピックの影響もあり今後さらに増加が見込まれます。
運動を楽しく効率的にサポートする素材として、弊社のオリープ果実マスリン酸をご紹介いたします。

オリーブオイルの果実は、粉砕、加水、混合した後にオイル成分として分離され、最終的にオリーブオイルが出来上がります。この搾油過程で副産物として果汁や搾り粕などが発生します。これらは決して有効利用されていると言えず果汁が一部の化粧品用途に加工、濃縮されています。昔からオリーブをふんだんに使う地中海式の食事は健康と関連があると言われています。そこで私達は、オリーブオイルの搾り粕の有効利用を検討しました。

マスリン酸は植物界に存在するワックス成分、トリテルペンに分類されています。オリーブ果実の表面にテカリがある部分、この部分がワックス成分になります。一般的に脂質成分のトルテルペン類は、吸収が悪いと言われていますが、マスリン酸は他のトルテルペン類とは違い比較的吸収が良いという事が分かっています。例えばオレアノール酸と比べてみるとその吸収率は約8倍であり、サプリメントにも良い成分と考えられます。

期待される有用性としては、関節痛の緩和作用、筋肉量の向上作用、運動パフォーマンスの向上作用等があります。また、マスリン酸は熱やpHにも比較的安定であり、加熱やpH変化があるような加工の場合にも使いやすく幅広く利用できると考えています。

他、オリーブ果実マスリン酸の関節へのアプローチ抗炎症作用、機能性評価試験等についてご講演いただきました。

 

第3部では、日本製粉株式会社イノベーションセンターの澤根健人氏にアマニに含まれる栄養成分とアレルギー疾患との関連等についてご講演いただきました。

 

アマニに含まれる栄養成分とアレルギー疾患との関連について様々な報告がされています。今回は、その内容を中心ご紹介したいと思います。

日本でもアマニの認知が広がっています。特に2014年と昨年においてメディアで取り上げられる機会が増えた事により、認知度が非常に拡大しました。アマニ製品の中ではアマニ油が広く知られていますが、最近ではアマニ油を配合したマヨネーズやドレッシング、さらにはアマニの粒を炒ったローストアマニといった形態のアマニ製品も販売されています。

認知度の拡大を受けて、2015年12月に食品成分表7訂に「アマニ油」「あまに  いり」が掲載されました。食品成分表は栄養管理が必要な給食や病院食等に活用されています。栄養管理が必要な場面においてアマニ関連製品が今後広く使われていく事が期待されます。

昨年2019年にアマニに含まれる栄養成分の特徴や流通プロセス等が評価され、日本災害食学会より「災害食」として認定されました。災害時において栄養が必要な場面でもnippnのアマニが役立つ事が期待されます。

日本アマニ協会認定マークという制度があります。非遺伝子組換えである、残留農薬検査に合格している、有効成分が一定基準以上であるという基準に加え、粒・粉末、油それぞれの基準を満たした製品が、日本アマニ協会の認定マークをつける事ができます。nippnのアマニには、この認定マークがついています。これに加えて、弊社独自の基準を設け、それをクリアした安心安全な製品を提供しています。

アマニには、主な成分としてオメガ3脂肪酸と食物繊維が豊富に含まれ、またポリフェノールの一種であるリグナンという成分が含まれています。アマニリグナンは生活習慣病の改善に非常に効果があるという栄養成分として知られています。今回はオメガ3脂肪酸と食物繊維にフォーカスし、アレルギーとの関連についてお話しさせていただきたいと思います。

青魚などにはオメガ3脂肪酸のEPA ・DHAが多く含まれているため、魚の摂取量が減ることがオメガ3脂肪酸の摂取量減につながってしまいます。一方アマニ油には、α-リノレン酸と呼ばれるオメガ3脂肪酸が含まれています。α-リノレン酸は、摂取すると体内で一部がEPA、DHAに変換されていくことから、アマニ油の摂取により体内でEPA、DHAを補う事ができると考えられています。また、アマニ油などからオメガ3脂肪酸を積極的に摂ることにより、様々な健康効果が得られるという研究が報告されています。

他、脂肪酸オメガ3脂肪酸を摂る事によって、アレルギーの改善につながる可能性等についてご講演いただきました。

 

第4部は、会場の皆様からセミナーに関する疑問質問に、齋藤 康先生・大蔵 倫博先生がお答えくださいました。

Q:スポーツを行う高齢者が多く暮らす地域に住むと健康を維持しやすいというお話しでしたが、このような地域はどのように増やしていくのかという構想や他との協力があるのでしょうか?

A(大藏先生):かさまスタディの成果をお知らせしましたが、笠間市で非常に沢山の成果も得られました。実際、約1000人の高齢者の方が毎週運動を行い、介護予防活動をされています。そういった笠間で行われている活動を全国、世界にどう広げていくかが一番大事なポイントであると考えています。
概念的な話ですが、地域において運動による健康づくりの進め方では、運動を楽しんでいただく、どんな運動をすれば良いかというと基本的にはその方自身が一番楽しいと思う運動をやっていただくというのが何よりも大事ではないかと思います。楽しいと思える運動はもっと「上達したい」と思います。これが継続につながります。個人のレベルだと継続してもらえれば良いのですが、地域レベルで考えるとそれをいかに普及させていくかという事が重要であり、高齢者個人が教える立場になってもらい地域同士でつながり、普及していくといった考えになってきます。考え方はこれで良いのですが、実際にどのように広げていくかというところで、私の個人的なアイデアとして実際にやってきていることですが、やはり法人をつくり、例えばNPO法人を通した指導者養成などが必要になります。先ほど紹介しましたマットスも2017年一般社団法人マットス協会を設立しています。こうした非営利団体による資格、地域への普及。こうした団体が自治体から依頼を受けて指導者を派遣して普及する。そこで高齢者の方自身が資格をとり地元の人達が広めるといった形が必要ではないかと思います。筑波大学はベンチャーを推奨していて私自身もイースポートという会社を設立しています。これはスクエアステップやマットスで使う用具などを販売しています。こういった法人を活用しながらやっていく事で普及につながれば、実績として全国各地や、韓国、香港、台湾、シンガポールなどの海外でも普及しています。

 

Q:健康や栄養は年代別に取組んでいると思いますが、運動面では年代別など手法はあるのでしょうか?

A(大藏先生):結論からいうとあると思います。ありますが色々な運動がありテニス、バレーボールなど競技的なスポーツであっても強度を変えるだけで高齢者の方でも十分に楽しくでます。例えば卓球などもラージボール卓球というのがありボールが軽くて少し大きいのでスピードが遅くなり高齢者の方でも十分楽しんでできるので継続する事ができます。ちょっとした工夫をする事で高齢者の方でも様々なスポーツを楽しんでいただけると思います。

他、「認知機能に関する身体機能の説明の中で、6つの運動の種類をあげられていましたが、他にも運動は行われた種類があるのでしょうか?」「高齢者が高齢者をケアしていくという事でしたが、若い人との関わりをもつというのは無理があるのでしょうか?」「ペグ移動やマットスをあげられていましたが、そのような運動は年齢にして何歳くらいからやって良いのでしょうか?」「栄養ということでアマニ油についてもう少し深く掘り下げて伺いたかった。というご意見をいただきました。」「運動を継続するモチベーションはなんですか?」について質問にお答えいただきました。

 

 

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