第6回 アマニフォーラムセミナーレポ―ト

若年層と子どもの栄養管理

子どもの生活習慣病 -脂質脂肪酸栄養の視点-

最新の医療情報と正しい栄養情報の提供

アマニフォーラム実行委員会・日本製粉株式会社(後援:一般社団法人 日本アマニ(亜麻)教会)は、2018年9月19日(水) JAカンファレンスホール(東京都千代田区平河町)にて、「第6回アマニフォーラムセミナー~最新の医療情報と正しい栄養情報の提供~」を開催しました。同フォーラムは、年間4回のシリーズでの開催を予定しており、今回はその第6回目にあたります。

【フォーラムセミナーの開催趣旨】

団塊の世代が65 歳を超え、4 人に1 人が65歳以上である「超高齢社会」の日本では、健康寿命の延伸を目指し、大変多くの方が健康に関心を持つようになりました。巷では健康に関する情報が溢れ、様々な健康食品が紹介されています。
「この健康食品が身体に良い」と話題に上がる都度その情報に振り回されたり、流行りの商品の類似品が登場すると価格志向になり、安全安心が二の次になっていく場面が繰り返されています。偏った情報に右往左往し、何が正しいのかわからない状況は、生活者にとってメリットはありません。

私どもアマニフォーラム実行委員会、日本製粉株式会社は、「生活者にやさしい社会の実現」を目指し健康寿命を伸ばしてQOL(=生活の質)を上げていくことができるように、「最新の医療情報と正しい栄養情報」を生活者に伝えてサポートしていきたいと考え、2017 年に「からだのケアフォーラム」を立ち上げ、それを推進する「アマニフォーラム」セミナーを開催しております。

 

 

 

日本製粉株式会社 取締役専務執行役員 清水 弘和 氏のご挨拶

 

座長に千葉大学元学長で名誉教授である齋藤先生をお迎えして、毎回お医者さんや管理栄養士の方からご講演いただき、最新の医療情報と正しい栄養情報を提供しております。

昨年度は、高齢者の栄養管理をテーマに健康寿命をどのように具体的に延伸していくかについて話しがありました。今年度は、高齢化とともに深刻な問題である少子化に関してとりあげ、若年層、子どもの栄養管理をテーマにして、子ども達を取り巻く環境を考え、その環境下にいる子ども達のすこやかな成長を願って、我々大人が取り組まなければいけない課題、そこに連動するさまざまな新しい話題を提供して共に考えていきたいと思っております。

子どもたちの問題は、やはり我々大人の問題を反映しているということなると思います。すなわち子ども達の話をしながら、実は我々大人を取り巻く状況、環境 を考えざるをえないと言えます。 健康状況、健康状態というのは、私たち本人の意識の問題でもあり、自分 の置かれているまわりの環境要因、状況、これによっても大きく影響を受 けます。たとえば住んでいるところが海の近くなら魚、野菜を売る店が近くにあるなら野菜を食べるチャンスが多くなります。家族で夜更かしをし ていれば栄養を摂る時の要因にもなります。私たち大人でさえ環境要因に 大きく影響されているということは、子どもたちの実際の生活の中で栄養・食生活において大人の都合や社会の影響が大きく関わっているということになります。

栄養管理のサポートのひとつとしてアマニがまだ無名に近いところから弊社は取り組み、公的機関や大学との共同研究により、人でのエビデンス、研究成果をずっと積み重ねてきました。その研究成果、我々の健康に対しての影響 や性質を考え、間違いなくアマニは、私たちの食生活の改善、問題点の解決の一助になってくれるものだと私たちは確信しています。

世の中にはさまざまな情報があふれています。健康食品にしても同様で、消費者が賢い選択をするための良き情報も、そうではないものもあります。 皆さまと共にアマニフォーラムの今後の望ましいあり方、方向性を考えて、それを次の場面に生かして いきたいと思っております。

今回ご登壇ならびに討論にご登壇いただいたのは、以下の方々です。

岡田 知雄 氏
(神奈川工科大学 応用バイオ科学部 栄養生命科学科 特任教授 医師)

西本 裕紀子 氏
(大阪府立病院機構 大阪母子医療センター 栄養管理室副室長 管理栄養士)

柴田 快 氏
(dely 株式会社 執行役員)

栗山 麗子 氏
(日本製粉株式会社 ヘルスケア事業部)

くわばたりえ 氏
(タレント:3児の母)

【内容】

第1部では、子どもの生活習慣病-脂質脂肪酸栄養の視点-について岡田先生にご講演いただきました。

 

小児科医の岡田先生は、ちょうど肥満が日本でも話題になる時期(昭和53年頃)から、小児の生活習慣病の研究を進め、子どもの生活習慣病とは、どのような状況にあるのか、その背景としてどのような問題があるのかをお話ししました。

成長期の脂質異常、動脈硬化の問題、コレステロールは必ずしも悪者ではなく子どもにとっては必要なものであること、また、心の問題、虐待、不登校、いじめ、発達障害、孤独、無気力、これらの問題も、少なくなった子どもの遊び場と全く無縁ではないなど、成育環境の変貌が背景にあるのではないかということです。

低出生体重児の頻度が日本では高くなってきており、低出生体重児で生まれた子には疫学的な研究によって、どこの国でも冠動脈疾患( 心筋梗塞)、2型糖尿病、高血圧が多く、背景要因が多様化しているために生活習慣病といっても対応は一筋縄ではいかない状況にあります。

思春期の肥満は約70パーセントが成人に移行し、いろんな合併症が出てきます。高血圧、脂質異常、耐糖能の異常がおき、いわゆるメタボシックシンドロームが非常に多くなります。

多価不飽和脂肪酸は、n-6 系とn-3系にわかれています。n-6系の代謝経路が活性化すると肥満児、特に腹部肥満の内臓肥満の蓄積を亢進します。一方、内臓脂肪が蓄積すると肝臓から出る酵素が内因性の脂肪産生を亢進しますが、n-3系のDHAが抑制することがわかりました。

 

 

第2部では、急性期疾患を扱う高度先進医療の周産期小児専門病院 管理栄養士の西本氏に臨床の現場にいる栄養士の立場から、発育がわるくなる低身長と肥満についてお話いただきました。

 

子どもは、常に成長発達します。これを発育といいます。子どもは、大人と違い発育していくという重要なプロセスにあります。
子どもにとっての食事とは、栄養を摂り入れる以外に味覚・嗜好の発達を促すことにもつながります。「おいしい」「楽しい」と思い食事をすることで、食欲・意欲・探索心・好奇心が発達します。いつ、どこで、だれと、どのように食べるかが重要になります。

例えば、基礎疾患が無く、低出生体重児と家族性低身長を除く低身長児に、生活のリズムを整えて朝はしっかり食べ夕食を早め、おやつはタイミングを考え適量にするなど食事内容も含めた栄養指導を行うと、全てがそうではありませんが、少しずつでも身長が伸びると言う症例をたくさん経験します。

子どもの肥満症は、メタボリックシンドロームだけではなくいじめなど、精神的・社会的にもいろいろな問題が起きています。肥満度が高い子どもが合併症を起こしやすいというデータがあります。やはり早くからの栄養指導の介入が必要だと考えます。

 

今年6 月より、日本製粉と共同で、子どもと若年層の栄養管理を支援するレシピ動画をリリースしたdely 株式会社 執行役員の柴田快氏にクラシルの紹介をしていただきました。

 

子どもと若年層の栄養管理を日本製粉さんと共同で支援していこうという取り組みからクラシルをご紹介いただきました。

クラシルでは2万本以上のレシピ動画を配信しており、1分間で観られる動画は、実際作っている人の目線で撮影した真上からみるような形のレシピ動画です。

これまでのレシピサービスと異なり、弊社は、ユーザーが投稿するものではなく、社内の管理栄養士がチェックをしてOK が出たものを自社で動画撮影し提供しています。日本製粉さんのアマニを使って、健康的なレシピを考え動画を作らせていただいています。

レシピ動画数は世界No.1、ダウンロード数も多く約1400万ダウンロード、SNS は300万人弱のファン数がいるというサービスです。

現状、日本製粉さんとの取り組みの中で、13本のアマニレシピ動画を作っております。「アマニ」「日本製粉」で検索していただくとレシピが出てくるので、是非ご覧いただければと思います。

 

 

 

第3部では、日本製粉株式会社の栗山麗子氏に高オメガ3で注目の健康素材「アマニ」をご紹介いただきました

 

アマニとは、アマ(亜麻)の種子です。日本名はアマニですが、海外ではFlaxseed、もしくはLinseed と呼ばれています。

紀元前から栽培されていた世界最古の栽培植物の1つで、もともとは繊維・搾油用途に用いられていましたが、現在ではそのまま食べられることも増えています。日本ではまだ知らない方もいらっしゃいますが、欧米では非常にポピュラーなものです。

市場データの中で注目していただきたいのは商品の割合です。はじめは単体の油が伸びていましたが、最近ではその油を使用したドレッシングやマヨネーズなどの商品が増えています。

アマ二にはいろいろな成分が含まれています。その中でも三大栄養素としているのがオメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)、食物繊維、アマニリグナンです。その栄養素を摂るために、「今日からはじめようオメガ3生活」として3つのポイントをご紹介しました。ぜひアマニを使用して、たくさんオメガ3 を摂っていただき、健康な毎日を送っていただければと思います。

アマニのレシピについては、日本製粉HP「ニップンのアマニ」内『アマニレシピ』『からだのパワーレシピ』でご紹介しておりますので、こちらもぜひご活用いただければと思います。
『アマニレシピ』https://nippn-Info.com/amani1/
『からだのパワーレシピ』http://nippn-karadarecipe.com/

 

 

対 談『くわばたりえの「子育ての悩み Q&A」』

タレントで3児の母である「くわばたりえ」さんをゲストにお招きしました。ご自身も子育て真っ最中ですが、全国で「ママ友会」を開催し、たくさんのママと話す機会をお持ちのくわばたりえさんが、お母さんを代表して岡田 知雄先生、西本 裕紀子先生に子どもの食生活と栄養管理について質問しました。

一つ目は食事のバランスについて「栄養が偏よるようなものばかり食べる!」
二つ目は食事の環境について「人前で食事ができない」
先生からお母さんが少しリラックスして子どもと良い関係を作りながら食を楽しんでいきましょう。など的確なアドバイスをいただき悩みを解決していきました。

 

 

 

 

さいごに、くわばたりえさんから、応援メッセージ「ママのためのごほうびデーをつくろう」「かけたらええやん」の2つをテーマにお話いただき、第6回アマニフォーラムを締めくくっていただきました。

 

 

<おわりに>

2017 年度「アマニフォーラム」セミナーでは、「高齢者の栄養管理」をテーマにサルコペニアやフレイル、それに伴う栄養管理情報、また、地域包括ケアシステムの具現化と高齢者の生きがい就労の創生に向けた産学官連携の活動など、年4回のセミナーを通してお伝えしてまいりました。

今年度の「アマニフォーラム」セミナーでは、「若年層、子どもの栄養管理」をテーマに、少子高齢化社会の子どもたちが健やかに成長し、日本の将来を担い活性化して行ってもらうために、我々を取り巻く環境から子どもたちに与える影響、それに連動する最新の医療情報や栄養情報を、年4回のセミナーでお伝えし共有して参りたいと思います。

セミナーに参加されるマスコミや医療、福祉関係者の皆様には、正しい情報を生活者にお伝えいただきたく、また賛同してくださる企業の皆様には、「最新の医療情報や正しい栄養情報」を基に、生活者が安心して暮らせる「場の提供」を一緒にお取り組みいただき、皆で「生活者にやさしい社会」を実現していきたいと考えております。何卒宜しくお願い申し上げます。

※詳細レポートをご覧になりたい方は、是非、冊子のアマニフォーラムレポートを資料請求フォームより、お申込みください。