第3回 アマニフォーラムセミナーレポ―ト

今話題のオメガ3 脂肪酸!体内でのメカニズムについて、最新の研究結果を発表

アマニフォーラム実行委員会(後援:一般社団法人日本アマニ協会/協賛:日本製粉)は2017年11月28日(火) J A共済ビル・カンファレンスホール(東京都千代田区)にて、「第3回アマニフォーラムセミナー~医療の最新情報と正しい栄養情報の提供~」を開催しました。同フォーラムは、全4回のシリーズでの開催を予定しており、今回はその第3回目にあたります。

【フォーラムセミナーの開催趣旨】

団塊世代が65歳を超え4人に1人が高齢者となった日本では、健康への関心が非常に高くなっています。巷では健康に関する情報が飛び交い、さまざまな健康食品が紹介されている一方、価格競争に拍車がかかり結果的に味や品質などが保証できない商品が出回り、生活者にとってメリットが少ないばかりか何が正しいのかさえわからない状況が繰り返されています。

アマニフォーラム実行委員会は生活者に優しい社会の実現を目指し、健康寿命を延ばしQOL(生活の質)を向上すべく、正しい知識や情報を生活者に伝えるサポートをしたいと考えアマニフォーラムセミナーを開催しています。

全4回のセミナーを通し、企業の取り組みや医療現場の栄養情報の提供のあり方、そして予防医学にも役立つ安全安心な食品など、エビデンスに基づいた正しい情報を提供してまいります。

 

 

今回のプログラムは三部で構成され、
一般社団法人日本アマニ(亜麻)協会 理事長 早間 元晴氏の挨拶

α-リノレン酸の供給源となる亜麻仁は、人類が初めて栽培した植物の一つだといわれており、最古の医学文献の一つにもアマニを用いた処方が記載してあるなど、長きにわたって人類の健康を支えてきた植物です。私ども日本アマニ協会は、欧米では早くからスーパーフードとして位置づけられている亜麻、そしてその種子であるアマニ、さらにこれらを原料とする安全安心なアマニ製品を普及させることをその使命として設立され活動しています。

 

後、3名の登壇者を迎えて講演を行いました。

【登壇者】

有田 誠  氏 (慶應義塾大学 薬学部・薬学研究科代謝生理化学講座 教授)

浅原 哲子 氏 (独立行政法人 国立病院機構 京都医療センター 臨床研究センター 内分泌代謝高血圧研究部 部長)

川口 康平 氏 (日本製粉株式会社)

【内容】

第1部 は、慶應義塾大学 薬学部・薬学研究科代謝生理化学講座 教授  の有田誠 氏が登壇し、

オメガ3(n-3系)脂肪酸の話題を中心に不飽和脂肪酸の体内での機能性やそのメカニズムについて、最先端の研究結果をご紹介いただきました。なんとなく体にいいとされてきたオメガ3脂肪酸にも機能を発揮するためのメカニズムが存在し、それを解き明かす基礎研究の重要性についてお話をいただきました。脂質はどちらかといえばその量が問題になることが多いかもしれませんが、その質(リポクオリティ:LipoQuality)も欠かすことができない視点であるということが近年明らかにされ始めています。また、巷でも健康を維持する上で脂肪酸ごとの摂取バランスが重要だということが盛んに取り上げられるようになっています。ところが、実は脂質にはわかっていないことが多く、エビデンスが欠けている話題も少なくないのが現状です。私たちの行っている基礎研究ではそのメカニズムを解明し、分子レベルの科学的根拠に基づく形で脂質の多様性に潜む生物学的意義を発信していくことを目指しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

第2部 は、独立行政法人 国立病院機構 京都医療センター 臨床研究センター 内分泌代謝高血圧研究部 部長の浅原 哲子 氏による、臨床現場におけるオメガ3脂肪酸の活用や、生活習慣病患者の心血管病予防に役立つオメガ3脂肪酸の機能の数々についてご講演いただきました。さらに臨床の現場で数多くの患者と接してきた経験から、肥満を抑制するために必要な食事の内容などについてもお話をいただきました。

日本では肥満の人がおよそ2000万人以上いるといわれ、それに伴って生活習慣病が増えています。この度刷新された肥満症診療ガイドライン2016では、肥満というものは単に脂肪が増えているだけではなく、糖尿病や脂質異常症、さらには心血管病など合わせて11もの合併症を引き起こしてしまうリスクが指摘されています。
太ることで疾病のリスクが上がってしまう理由の一つが、脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカイン(生理活性物質)です。脂肪細胞からは多様な生理活性物質が分泌されていますが、内臓脂肪が増えると動脈硬化を引き起こすPAI-1(プラスミノーゲン・アクチベーター・インヒビビター1)、高脂血症を引き起こすFFA(遊離脂肪酸)などさまざまな悪玉の生理活性物質が増え、一方で善玉のアディポネクチンが減少してしまうということがわかってきています。このような理由から、内臓脂肪型肥満であるメタボリックシンドロームの危険因子が重なれば重なるほど、疾患リスクが飛躍的に増加してしまうのです。

 

第3部 は、日本製粉株式会社の川口 康平 氏から、オメガ3(n-3系)脂肪酸の他にも注目されているアマニの栄養成分、食物繊維やアマニリグナンについて紹介していただきました。さらにそれらの特性を生かしたアマニ製品の効果的な使い方についてもご紹介いただきました。アマニの主な消費地は北米やヨーロッパで、これらの地域では日本におけるゴマの位置をアマニが占めています。最大の消費国であるカナダでは、雑穀やパン、健康補助食品などさまざまな用途に使われ、健康にいい食べ物だという意識が消費者の中に根付いています。日本でもここ5年ほどの間に認知度が向上しつつあり、さらに食品標準成分表2015年版(七訂)に新しく「あまに油」「あまに いり」のアマニ製品の項目が加わったことで、今後さらに用途が広がっていくことが期待されています。

 

 

 

 

 

 

 

質疑応答 第1回のアマニフォーラムセミナーで全体のオーバービューについてご講演いただいた千葉大学大学院医学研究院の横手幸太郎氏を交え、多数寄せられた質問の一部に対してディスカッション形式でお応えいただきました。

 

 

第3回アマニフォーラムセミナーでは、基礎研究の最先端から、そして臨床診療の現場からアマニに含まれるさまざまな脂肪酸やそれに関連した話題についての講演が行われました。近年、日本では食生活がその姿を大きく変え、とりわけ脂質の質(リポクオリティ)の変化がさまざまな健康リスクに直結している実態がエビデンスに基づく形で次々と明らかにされつつあります。その脂質の質を改善する上で健康補助食品としてのアマニの可能性がますます注目されています。 私たちの将来の健康を考える上で、生活習慣の改善と栄養管理は欠かすことのできない視点です。このアマニフォーラムセミナーが生活者の皆様にとっての有益な情報源として、QOL(生活の質)向上につながることを期待しています。