食物繊維の一日摂取目標量

食物繊維の一日摂取目標量

食物繊維は体内の消化酵素でほとんど消化されず体外に排出されるため、これまで栄養価のないものとされてきました。しかし、近年は人間の体に重要な作用をもたらし健康維持をサポートする成分として積極的に摂るよう推奨されています。
五大栄養素であるタンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルの次の「第六の栄養素」として注目されているのです。

食物繊維の摂取目標量は?

厚生労働省は一日の摂取目標量を次のように定めています。
(日本人の食事摂取基準 2020年版)

18歳以上の男性:20g以上/日
18歳以上の女性:17g以上/日

実際の摂取量は?

日本人の実際の食物繊維摂取量は、10代から40代で10~15gで目標量には達していません。
戦後、食生活が西洋化したことや、雑穀や玄米をあまり食べなくなったことなどが原因で摂取量は右肩下がりに減少し、戦前と比較すると現在は約半分になりました。

健康のための摂取目標量は?

心筋梗塞を予防するための食物繊維の摂取量として、一日24g以上だと死亡率が低下し、12g未満になると増加するという研究報告があります。
(メタアナリシス:Arch Intern Med 2004;164:370-6)
またアメリカのガン協会は一日あたり25~35g以上の摂取を推奨しています。

食生活に意識して取り入れましょう

食物繊維の健康効果は、便秘改善から心筋梗塞、ガンの予防まで幅広く報告されています。さらにダイエットや美肌効果も期待できます。
現代の食生活では、意識して食物繊維を摂取しなければなかなか目標値には達しません。食物繊維が多く含まれる食品を調べて上手に食事に取り入れたいものです。洋食よりも和食を選ぶ、白米に雑穀を混ぜる、常備菜を利用するなどの工夫をしましょう。

便秘解消には「水溶性」「不溶性」どちらの食物繊維も大事

食物繊維には水溶性、不溶性と2種類の食物繊維があります。特に便秘解消効果を期待したい場合、両方の食物繊維をバランス良く摂ることが大事です。

食物繊維の代表的な食品であるきのこや野菜は不溶性食物繊維に該当します。不溶性食物繊維は繊維質により便のかさを増やし、腸を刺激するため便秘解消に効果があります。
さらに便をスムーズに排出するためには、便を柔らかくし腸内環境を整える水溶性食物繊維も必要なのです。水溶性食物繊維はこんにゃくや海藻類に多く含まれています。