食物繊維の効果をもたらすしくみ


食物繊維の効果をもたらすしくみ

食物繊維は野菜などの植物、海藻やこんにゃく、きのこ類などに多く含まれる成分で、体内ではあまり吸収されません。しかし体に必要不可欠な第六番目の栄養素であると位置付けられています。食物繊維は体内でどのように作用し効果をもたらすのか、詳しくみていきましょう 。

不溶性と水溶性をバランスよく摂取すること

食物繊維は不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類に分けられ、それぞれ特徴や体への作用が異なります。両方の食物繊維を摂ることにより、さらにその効果が期待できます。

「不溶性2:水溶性1」の割合が理想的と言われていますが、どちらもバランスよく摂取することを心がけましょう。

第6の栄養素

食物繊維の主な効果と作用するしくみ

便容量を増やし便通を整える

食物繊維の作用として一般的に広く知られている効果が便秘解消です。
食物繊維の繊維質が便の容量を増大させ、腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にすることにより排便を促します。食物繊維には保水性もあるため、水分を吸収して便の固さを正常にし、腸内での動きをスムーズにして体外に排出しやすくします。

腸肝循環を活発化、有害物質を吸着・排出する

食物繊維の吸着作用により、小腸内で胆汁酸を吸着し体外に排出させる働きがあるため、腸肝循環を活発にし、新しい胆汁酸の合成を促します。その結果、血液中のコレステロールを減少させ、脂肪肝を抑制する効果があるとされています。

さらに大腸内で老廃物や発がん性物質を吸着して排出するため、動脈硬化症や大腸ガンがんなどの様々な病気の予防も期待されています。

そしゃく回数の増加、糖質/脂質の消化吸収を抑制する

食物繊維を多く含む食品を食べる際、よく噛む必要があり唾液の分泌も増えます。そのため食べ過ぎ防止や食欲を抑える効果があり、肥満の予防に役立ちます。

さらに糖質や脂質の消化吸収を抑制する働きがありますので、食後血糖値の上昇を抑えインスリンを過剰に分泌させることがないため、糖尿病の予防や改善に効果があります。

腸内環境を正常化する

高血圧の原因は、腸内で食塩などのナトリウムが吸収され血液内に入ることが要因の一つですが、食物繊維はナトリウムを包み込み排出する作用があるため血圧の上昇を穏やかにする働きがあります。

また食物繊維の毒素を吸着し腸内から体外へ排出する作用により、悪玉菌の活動を穏やかにし、善玉菌が増殖します。さらに発酵作用により腸内環境のバランスが良くなり、免疫力の維持、向上につながると考えられます。