第5回 アマニフォーラムセミナーレポ―ト

若年層と子どもの栄養管理

食環境と健康 -子どもから高齢者まで-

最新の医療情報と正しい栄養情報の提供

アマニフォーラム実行委員会・日本製粉株式会社(後援:一般社団法人 日本アマニ(亜麻)教会)は、2018年7月10日(火) コングレスクエア日本橋(東京都中央区)にて、「第5回アマニフォーラムセミナー~最新の医療情報と正しい栄養情報の提供~」を開催しました。同フォーラムは、年間4回のシリーズでの開催を予定しており、今回はその第5回目にあたります。

 

 

【フォーラムセミナーの開催趣旨】

団塊の世代が65 歳を超え、4 人に1 人が高齢者となった日本では、大変多くの方が健康に関心を持つようになりました。

巷では健康に関する情報が溢れ、さまざまな健康食品が紹介されている一方、話題先行の情報に振り回されたり、価格競争に拍車がかかり安全安心が二の次になっていく場面が散見され、生活者にとってメリットが少ない状況が繰り返されています。

アマニフォーラム実行委員会、日本製粉株式会社は、「生活者に優しい社会の実現」を目指し、健康寿命を延ばしてQOL(=生活の質)を上げていかれるように、「食生活からの栄養改善」を提案し、健康な身体を維持することに貢献したいと考え、2017 年度よりアマニフォーラムセミナーを開催しております。

2018 年度のアマニフォーラムセミナーでは、「若年層、子どもの栄養管理」をテーマに、我々を取り巻く環境から子どもたちに与える影響、それに連動する「最新の医療情報と正しい栄養情報」を年4 回のセミナーを通して提供してまいります。

 

 

 

<千葉大学 名誉教授・アマニフォーラム実行委員会 座長 齋藤 康氏のご挨拶>

 肥った方の診療をしているとき、患者さんが「私はどうして肥ってしまったのでしょうか?」とお尋ねになることがあります。「食べ過ぎてしまったからではありませんか?」と私が応じると、ご本人は「何も食べていない」と主張されます。これは患者さんが嘘をついているわけではありません。患者さん自身がそのように信じてしまっているのです。

 食べすぎて肥満になってしまった場合でも、すべてがご本人の責任だと決めてしまうのは早計です。もちろん、ご本人の責任もないわけではないのでしょうが、意図せず食べてしまうような状況になっているということが病気なのではないかと思います。

 今回のアマニフォーラムセミナーにおいても、食べるという行動に対してどのように対策を行っていけば良いのかのヒントにしていただければと思います。

 

 

 

 

 

 

 

千葉大学大学院 医学研究院 細胞治療内科学講座 教授
横手 幸太郎 氏のオーバービュー(ビデオメッセージ)

日本は少子高齢化を迎え、いかに健康長寿を実現するかということがとても大切な命題となっています。そこでアマニフォーラムでは昨年度、ご高齢の方がどのように健康長寿を実現するかということに焦点を当てて計4 回のセミナーを開催し、「最新の医療情報や正しい栄養情報」について皆さんと共に考えてまいりました。

今年度は、高齢化と共に深刻な課題である少子化をテーマに、将来の日本を担う子どもたちにどのように健やかに成長してもらい、そして大人になってからいかに健康長寿を実現していただくかといった観点から医療と栄養の情報を提供したいと思います。

今後4 回のセミナーでは、子どもたちを取り巻く環境と我々大人が取り組まなければいけない課題、そしてそれに連動するさまざまな新しい話題を提供してまいります。これから続くアマニフォーラムが皆様の正しい健康情報のアップデートに役立つことを願っています。

今回ご登壇ならびに討論にご登壇いただいたのは、以下の方々です。

近藤 克則 氏
 (千葉大学 予防医学センター 社会予防医学研究部門  / 大学院 医学研究院  環境健康科学講座 公衆衛生学 教授)

川口 康平 氏
(日本製粉株式会社)

村上 祥子 氏
(管理栄養士 料理研究科)

【内容】

 

 

第1 部では、健康と社会的な環境との関連について研究されている近藤氏に、『食環境と健康ーこどもから高齢者までー』と題し、現代の社会情勢を背景にした子どもの食事と健康についてご講演いただきました。

私は普段、高齢者のデータを使って健康とくらしについて研究を行っていますが、調べれば調べるほど子どものころの給食の有無などの環境、あるいは環境が高齢期にまで影響を及ぼしている実態が見えてきます。社会環境やライフコース(=人生の道筋)が、実は栄養面でも重要なファクターとなっているのです。

貧困や健康の問題では、しばしば自助努力が促されますが、子どものころの給食の有無などの環境が健康にも影響を与えますし、どういう教育を受けたかによってその人の職業が決まり生涯の収入も左右します。その人がなぜ貧困に陥り、健康を損ねたかという原因の発端に目を向け、そもそも社会から排除されないようにする対策が検討されるべきなのではないでしょうか。

今、子どもの貧困は日本が抱える最も深刻な社会環境的な問題の一つです。このまま放置していれば、その影響は現在だけではなく、日本全体の将来にも暗い影を落とすことになります。貧困を抱えている人たちに対する集中的な支援はもちろんのこと、そこに暮らしているだけで健康になってしまうような社会作りを構想し、その条件を一つずつ作っていく必要があると考えています。

そのためには、社会的な合意の形成やさまざまな部門間の連携が欠かせません。皆さんが連携することで住みやすい社会になることを願っております。

 

 

第2部では、日本製粉株式会社の川口氏に、『栄養豊富なアマニのご紹介』と題し、アマニの基本的な情報や私たちの健康をサポートする機能性について、さらにアマニの活用方法についてお話いただきました。

 

『日本人の食事摂取基準2015 年版』によると、オメガ3 脂肪酸の1 日あたりの摂取目安量は成人1 人あたり1.6 g~2.4 g となっています。これをアマニに換算すると、アマニ油だと小さじ1 杯(約5 g)、ローストアマニ粒・粉末だと大さじ2 杯(約10 g)となり、アマニを摂取する際の一つの目安になります。

小売店にはいろいろなアマニ商品が並ぶようになりましたが、アマニフォーラムにご後援いただいている日本アマニ協会では良質で安全安心なアマニ商品に対して優良アマニ商品の認定制度を設けており、基準をクリアした商品は認定マークが使用できるようになっています。アマニ商品を選ぶ際の基準としていただけると安心してアマニを味わっていただけるのではないでしょうか。

 

 

第3 部では、日本全国を飛び回り「空飛ぶ料理研究家」として食育指導に力を注がれている村上氏に、『「ライフスタイルに合わせて食生活改善」~簡単! ちょい足し栄養補給レシピ~』と題し、アマニを活用した栄養補給に最適な簡単レシピをご紹介いただきました。

私たちは食べるということでしか自分の生命をつないでいくことができません。蛇口をひねればお湯が出る便利な時代になりましたが、それでもやはり毎日食べないことには生きるためのエネルギーを得られません。心臓も、筋肉も、血液も、身体の古くなった組織を新しくする新陳代謝はすべて食べ物から得た栄養素によるものなのです。

日本の食生活は、世界から注目され、「日本型食生活」は、ユネスコの無形文化遺産にも登録されるなど、非常に高い評価を得ています。しかし、今の日本人は、食生活に問題を抱えている方が多く、肉の摂取量が多く、野菜や魚の摂取量が減少しています。その結果、体調不良を招いてしまうこともありますが、これは、食べ方の問題です。

子どもたちに食べることの大切さを伝えていくことが急務だと感じています。栄養のバランス良くちゃんと食べ、そしてちゃんと生きる力のことを私は「食べ力®」と呼んでいます。生きる力をはぐくむ食生活は生活習慣そのものですから、子どものころから身に付けさせることがとても大切です。

私は福岡で長年料理教室を開催しており、最初の3 歳の教室を卒業した生徒たちは今、大学生になっています。その子どもたちのことを見ておりますと、子どものときに覚えた食習慣がそのまま成人した後も続いていくということを身をもって実感しています。「食べ力®」と言ってもあまり難しいことを考える必要はありません。主食、主菜、副菜が揃った食事を食べ続けていく基本があるだけです。

ローストアマニ、アマニオイル、甘酒を使った“ちょい足し”+“レンチン”レシピをご紹介いただきました。

 

 

<質疑応答>

セミナーの参加者から多数のご質問をいただきましたので、座長の齋藤氏、第1 部、第3 部でそれぞれ登壇していただいた近藤氏、村上氏に、時間の許す限りご回答をいただきました。

 

 

 

<おわりに>

昨年度、「高齢者の栄養管理」をテーマに計4 回開催されたアマニフォーラムセミナーは、幸いなことに一定のご評価を賜りました。今年度は“高齢化” と共に日本が抱える重要課題である“少子化” にフォーカスを移し、子どもたちの健やかな健康やその先にある健康長寿をサポートする「最新の医療情報と正しい栄養情報」を発信してまいります。

第5 回アマニフォーラムセミナーでは、子どもを取り巻くさまざまな環境と我々はどのようにそれに取り組んでいくべきなのかといった予防医学の視点、そして栄養豊富なアマニの健康上の効果や生活に簡単に取り入れられるアマニ商品を使ったレシピついてお伝えいたしました。セミナーの内容が生活者の皆様のQOL(=生活の質)向上につながることを期待しています。

※詳細レポートをご覧になりたい方は、是非、冊子のアマニフォーラムレポートを資料請求フォームより、お申込みください。