リグナンの効果をもたらすしくみ

リグナンの効果をもたらすしくみ

アマニに豊富に含まれるリグナンは植物ポリフェノールの一種で、高い抗酸化力に加えて女性ホルモン様作用や脂質代謝改善作用などが期待されています。具体的にリグナンが体内でさまざまな作用を及ぼすしくみについて説明します。

 

動物性リグナンに変化してエストロゲン様に作用する

リグナンはヒトの体内に入ると、腸内細菌のはたらきによって、エンテロジオールやエンテロラクトン(動物性リグナン)に代謝されます。

生殖年齢期の女性には体内にエストロゲンが多く存在していて、動物性リグナンはエストロゲン受容体と結合し、体内にもともとあるエストロゲンとの結合をブロックすることができます。この場合、動物性リグナンは抗エストロゲン作用を持つ物質として機能します。

逆に、更年期には卵巣からのエストロゲン分泌量が低下しますが、動物性リグナンはそれを補うために弱いエストロゲンとして作用します。体内のエストロゲンが減少すると血管内皮細胞の機能が低下して動脈硬化が促進され、心血管疾患のリスクが高まるため、リグナンがこれらのリスクを低減する役割をも担っているのです。

肥満の予防のしくみ

リグナンが体内に入ると、脂肪細胞から分泌される善玉ホルモンの「アディポネクチン」が血中で増加します。

      

アディポネクチンは血管修復作用や脂肪燃焼作用、血管拡張作用などがあり、糖や脂肪の代謝に関与するため、糖尿病やメタボリックシンドローム、肥満の予防につながります。

抗酸化作用によって期待されるがんの予防のしくみ

乳がんや子宮がん、前立腺がんの初期段階では、女性ホルモンの影響を受けて腫瘍が成長します。脂肪の摂取量と血中にある女性ホルモンの濃度が高いほど、これらのガンが発生する確率は高いと考えられています。

リグナンの主成分であるSDG(セコイソラリシレジノールジグリコシド)や動物性リグナンには抗エストロゲン作用があるという報告があり、これによってがんの縮小などが期待されます。

抗炎症作用のしくみ

動物性リグナンには血小板を活性化する物質の分泌を抑制し、血液凝固を抑制する役割があります。この血小板を活性化する物質は炎症反応の原因となる物質のため、動物性リグナンには抗炎症作用があると言えます。

この抗炎症作用と抗酸化力の相乗効果で、心臓病の予防などが期待できるといった報告があります。

リグナンは体内でホルモンのような作用を発揮するとともに、抗炎症作用により動脈硬化などの生活習慣病をも予防する効果が期待できるものです。いつまでも健康で人生を過ごすためにも、リグナンを含む食材を積極的に食事に取り入れていきたいですね。

参考文献

ダイアン・H・モーリス「アマニ flaxseedその健康と栄養」

http://www.flaxassociation.jp/img/Primer4Japanese.pdf